埼玉県川口市に生まれ、名門開成高校に入学し絵の道を志すも、大学受験に失敗。その後、舞台の世界に魅了され劇団「青俳」に入り役者の道へ。役者の道でも一向に目が出なかったが、劇団の演出家が退団したことがきっかけで偶然にも演出家としてデビュー。その後独立して「現代人劇場」「櫻社」を立ち上げ、石橋蓮司や蟹江敬三らと当時学生運動や市民運動の盛んだった新宿を中心にアングラ演劇で活躍。 1974年にはシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」で商業演劇の世界にデビューする。商業の世界では長く芽が出なかったが、転機となったのが1980年代。ローマ、アテネ、ロンドンでヨーロッパに逆輸入の形で上演したシェイクスピア演劇が大反響。瞬く間に海外で名声を高め「世界のニナガワ」とまで称されるように。晩年まで国内外で数多くの演劇を手掛け、また多くの名優たちの育て手としても活躍した。 今回、自宅の書斎や劇場に残された貴重なゆかりの品々や、蜷川の舞台を演じてきた吉田鋼太郎、石橋蓮司ら大物俳優のインタビュー、さらに貴重な本人の生前の映像とともに世界の蜷川の人生と素顔に迫る。 また、蜷川が立ち上げた若手演劇集団「さいたまネクスト・シアター」ゲネプロも取材。蜷川が命を削るようにしてつくりあげ、次世代へと残したものごとを紐解いていく。